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enPiT2 Emb スプリングスクール2018を開催しました!(開催地:九州大学&東海大学)

2018.05.05

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目的:

実践的な組込みシステムを、プロジェクトで取り組み開発できる人材を育成すること

  • PBL課題に取り組み、enPiTのQuadProの基礎的な能力を高める
  • 組込みシステム開発の基礎を、ロボット制御システムの開発を通して学ぶ

※後援:情報処理学会組込みシステム研究会
8月に開催される組込みシステムシンポジウム・特別企画ESSロボットチャレンジ参加予定者のキックオフも兼ねる

日時:

2018年4月21日(土) 22日(日)、25日(水)、28日(土)

開催地:

@福岡・・・九州大学 伊都キャンパス ウエスト2号館5階506号室
@東京・・・東海大学 高輪キャンパス 4号館3階4304教室

参加者数:

9校より、受講生95名 (修士2年3名、修士1年28名、学部4年生54名、学部3年生:5名、学部2年生:5名)
18チームに分かれて受講しました。

講義

スケジュール

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講義の様子

【4月21日(土)】午前のセッションでは、松浦先生によるプロジェクトマネジメントの方法、および、大江先生によるZumoを演習で使うための基礎技術に関する講義を行いました。プロジェクトマネジメントの講義を初めて受ける学生も多かったのですが、ミニ分散PBLでは講義で教わったプロダクトバックログ、スプリントバックログ、スプリントレトロスペクティブに基づいたタスク管理を理解し、実践していました。また、100人近い学生に対するZumoや開発環境の技術指導は忙しく、行き届かない点もありましたが、まずはZumo制御に必要なライブラリ関数を使い、データ計測の方法までを演習しました。午後のセッションでは、enPiT1向けの授業とenPiT2向けの授業に分かれて、組込みシステムの設計に関する講義および演習を行いました(enPiT1向けは久住先生と谷川さん、enPiT2向けは舘先生が担当されました)。enPiT2の舘先生は「E-Station」を使ったLED点灯制御を題材として、シーケンス図を用いた設計について講義および演習を行いました。

【4月22日(日)】午前と午後のセッションで、三輪先生によるロボット制御理論の基礎と応用の講義を行い、午後のセッションにおいて、細合先生と田中先生によるIoTサーバ・Zumo間通信の基礎技術の講義・演習(詳しい登壇の様子はこちら参照ください)を行いました。「ロボットは制御のかたまりである」という説明に始まり、安定した制御を行うための数式モデルの基礎を講義して一部演習に取り組みました。また、ZumoのセンシングデータをIoTサーバへ送ること、IoTサーバからZumoへ指示を送ることといった通信基礎を演習しました。

※講義資料および動画はこちらからダウンロードできます。パスワードが必要です。

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ミニ分散PBL

【4月23日(月)~27日(金)】チームごとにミニ分散PBLを実践しながら下記の課題に取り組みました。4月25日には、それぞれのグループの拠点大学をインターネットで接続し、進捗報告会を実施しました。また、Facebookを立ち上げて、学生からの技術的な質問を教員が対応できるようにしました。

<教材説明>

Arduino互換ボードで制御、

・Zumo (無限軌道(キャタピラ)式ロボット)

・主な仕様:アクチュエータ(モータドライバ、ブザー、LED)、センサ(3軸加速度・磁気センサ、3軸ジャイロセンサ、ライントレースサンサ)

<課題説明>

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成果発表会

【4月28日(土)】ミニ分散PBLを実施して課題に取り組んだ成果をグループごとに発表しました。4月25日の中間発表会と同様に、それぞれのグループの拠点大学をインターネットで接続して実施しました。
<成果報告> 発表7分、質疑3分

•共通: プロジェクトの概要
-【プロダクトバックログ】を課題の要求一覧として示す
-【スプリントバッグログ】を進捗報告タスクボードとして示す
•走行結果(動画を再生)
•科目ごとのPBLでの実施内容
-学部(enPiT2)
»モデル (シーケンス図)、実装上の工夫(タイマ割込みの使い方等)
-修士(enPiT1)
»モデル (構造化分析、設計)、 実装上の工夫
-共通
»制御方法,サーバ上での計測データ
»がんばったこと、疑問に思っていること
•共通:【スプリントレトロスペクティブ】の結果をKPTの観点で示す
 
<実施動画> 

スプリングスクール2018を終えて

本年度のスプリングスクール2018では、次の新しい試みをいたしました。

  • enPiT1/2ともに「Zumo」を題材とした。講義や課題の一部にenPiT1/2の差別化を図り、モデリングやモジュール設計などに関してenPiT1の学生(修士向け)が発展的内容を学べるようにした。
  • IoT通信の科目を新たに加えた。
  • 課題を増量して4課題とし、プロジェクトマネージメントによるタスク管理を要する状況を設定した。
  • 学生に対してアセスメントマップ(授業のクリア基準)を提示し、各授業の「目的」や「何を学べる授業であるか」を明確にした。報告会では、課題が単に「できた」ことを示すのではなく、評価基準をクリアしているかをプレゼンテーションに含めるように指示した。

全体的にライントレースやIoTサーバ通信の課題1~3をクリアし、プロジェクトマネージメントのキーワードを使ってタスク管理を行うことができていました。しかし、成果発表会において、ロボットの制御方法(数式モデルの提示、ソースコードによる制御モデルの説明)に関する説明が不足していたと感じました。今後は、成果発表におけるプレゼンテーションに含める内容をさらに明確に指導する必要があると考えています。

例年よりも濃密な授業構成となり、国内外で活躍されている先生方による講義を2日間で受講できるカリキュラムとなりました。enPiTに初めて参加する学部生にとっては消化しきれないほどの講義となりましたが、同じ課題を修士の学生がバランスよくプロジェクトマネージメントし、モデル設計し、クリアしている姿を見ることで、学びの大切さ、設計の重要性、タスク管理・コミュニケーションの必要性などが十分に実感できたのではないかと思います。まだクリアできていない課題に対しても、共有している情報や、再度授業ビデオを見直したりプレゼン資料を参考にして、最後まで取り組んでほしいと思います。そして次の「ESSロボットチャレンジ2018」の課題にぜひチャレンジして、また新しい学びや気づきにつなげてほしいと考えています。