NEP|名古屋大学組込みシステム人材育成プログラム

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AUTOSAR概論講座受講者からのFAQ集

このページでは,NEPのAUTOSAR入門講座であるAUTOSAR概論を受講頂いた皆さまのからのご質問の内,受講に先立ってお役に立ちそうで,数回質疑で挙げられた情報をご紹介します.

■AUTOSAR講座を受講する前に…■

このページに掲載する内容は,AUTOSAR概論や,AUTOSAR OS仕様とTOPPERS/ATK2の使い方の講義中,講義後のQAでにも詳細にご案内します.受講前の確認情報としてご覧ください.

AUTOSARという単語を頻繁に見聞きするようになって,実施に学んでみたい,概要を知りたいと思ったは良いが,あまりに実態がつかみにくいという方々向けのご案内です.
すべてをお伝えすることはできませんので,ぜひ公開講座をご受講ください.

■AUTOSARとは■

近年頻繁に使われるようになっているAUTOSAR(AUTomotiveOpen System ARchitecture)とは,一般に次のような,ふたつの意味を持つ単語です.
(1)車載ソフトウェアの共通化を実現するためのプラットフォーム仕様
(2)上の仕様を策定・公開している団体組織の名称
組織としてのAUTOSARは2003年に欧州で設立されました.複雑化する車載組込みソフトウェアをめぐり,欧州自動車メーカーを中心に,車載ソフトウェアの共通化を目指すことを目的としています.
AUTOSARは,メーカやハードウェアに依存するインタフェース,コンフィギュレーションを標準化して,車載組込みソフトウェアの生産性や再利用性の向上を目指しています.

車載組込みソフトウェアの複雑化が顕著になるにつれ,ソフトウェアの開発コストや開発期間も増加しました.その中で,各社独自の設計や思想で実装を進めてきた経緯があります.
各社の取り組みが,ユニークな製品や競争が生まれる契機にはなってきました.反面,複雑化が更に進み,安全性(とりわけ,信頼性)を保障することが困難になってきている側面もあります.
品質保証や信頼性担保のコストを削減するために,共通モジュールは共有することが期待されます.
同様の発想は完全に新規のものではなく,モジュールやインターフェースの標準化はOSEKでも行われて来ました.AUTOSARでは標準インターフェースにとどまらず,アーキテクチャや方法論についても言及しています.

■AUTOSAR導入■

一口にAUTOSAR対応と表現しても,実際には様々な水準での対応が想定されています.AUTOSARでは,そのアーキテクチャに対して,どのレベルで準拠した開発を行うかのクラス分けとしてImplementation Conformance Class (ICC)が定義されています.
ICC1,ICC2,ICC3の3つのクラスがあります.このレベル分けは,AUTOSAR仕様の反映の程度により異なります.
たとえばICC1レベルの場合,RTEへのI/FのみAUTOSAR適合でも達成されますが,ICC3レベルでは,すべてのコンポーネントをAUTOSARに従って実装することが求められます.
それぞれの詳細や,達成する上での課題は,AUTOSAR概論にてご紹介しています.

■AUTOSARを導入するメリット■

特に欧州市場をにらんだ場合,AUTOSAR準拠であることが納入条件となる時代に入っています.国内市場向けと国外市場向けに,二重開発するコストを考えると,AUTOSAR準拠に統一することがひとつの現実的な解となり得ます.
国内市場ではAUTOSARがまだ浸透しきっていない印象もありますが,現時点からアンテナを張っておくことで,業界がAUTOSAR準拠するという動きが出た時に,他社に先んじて対応可能になると考えられます.システム設計や検討方法開発手法をAUTOSARへ切り替えることで,サプライヤとの情報伝達の標準化を計ることも可能になると考えられています.
AUTOSARは,アーキテクチャの階層に基づいて,自動車メーカ,部品メーカ,ツールベンダ,半導体メーカ等など,様々な業態の開発対象者を想定しています.どの部分の,あるいは,どのような製品開発に携わるのかに応じて,AUTOSARアーキテクチャのどの部分が肝要になってくるのかが,ある程度定めやすくなります.

■AUTOSARが規定する開発方法論■

AUTOSARを意識した開発も,ツールを用いて開発が進められます.AUTOSARは,実装方法は規定していませんが,開発の方法論は規定しています.ソフトウェアコンポーネントに代表されるようなりソースは,AUTOSARが規定するアーキテクチャに基づいて開発される必要があります.
開発にあたり,ソースはツールを用いて生成します.したがって,方法論としては,既存のソースをAUTOSAR仕様に合わせるような開発も,理論上は可能です.ただし,AUTOSAR仕様そのものが膨大な規模であることから,相当のコストが想定されます.
AUTOSARを意識した開発を行うために,各種のツールが販売されています.ツールメーカは現状,AUTOSRAの規格そのものを改訂することをしていません.したがって,使いやすさやお求めやすさに基づいて規格が変動するようなことは現状ではありません.また,各種ツールがありますが,膨大なAUTOSAR規格に完全に応じることができる単一ツールは2016年現在ではありません.

■名古屋大学NEPでAUTOSARを学んで頂くメリット■

AUTOSAR導入のハードルとして頻繁に挙げられるのが,仕様の膨大さと,仕様書の曖昧さです.もともと,複数の企業で使用することを想定していた経緯から,意図的に曖昧な記述を残している部分も多々あります.
また,英文で作成されている仕様書の記述内容を理解することも,困難です.本来分割して記述されるべき要求事項が,1つの要求として1つの仕様タグでまとめられているといったような難解さもあります.規模も膨大であるため,すべてを1人あるいは少人数で把握することは,非常に困難ですし,仕様書だけではイメージしにくい部分も多いという大きな課題があります.

名古屋大学大学院情報学研究科附属組込みシステム研究センターでは,産学連携の共同研究をとおして,日本語の開発ドキュメントを作成して,TOPPERSプロジェクトから公開しています
公開しているドキュメントは,単に和訳しただけではなく,開発成果物として作成されています.トレーサビリティを意識した仕様タグの振り当てや,未定義,曖昧な仕様に対してはNCESの独自仕様を追加するといった特徴があります.
AUTOSAR OS仕様とTOPPERS/ATK2の使い方では,上のような開発研究から得られた成果や知見をご紹介して,実際にソースも触りながら,AUTOSARについて学んでいただくことができます.実際に研究開発したからこそ提供可能なコンテンツや関係者が揃っています.ぜひ公開講座を受講いただき,会場でご質問ください.モデルカーを用いたAUTOSAR開発入門でも同様に,AUTOSARやATK2についての知識や情報をお伝えしています.併せてご受講ください!

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